令和6年4月1日付けで病院長に就任しました。
振り返ると、令和2年1月、私が18年ぶりに当院に再赴任して間もなく新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい始めました。医師、看護師や医療技術職員はもちろん、事務職員も含め総動員で未曽有のパンデミックに向き合い、公立病院として災害拠点病院の役目を存分に果たしたと感じています。
その反面、感染爆発期には救急や一般医療体制の維持が一時的に困難になり、市民の皆さまにご不便やご心配をおかけした時期がありました。また、全国的に病院受診が敬遠されたことから、当院のがん診療においても、早期がんは少なく進行がんでの発見が増えたので、「かかりつけ医や市の健診などの定期的な検査受診を欠かさないでください」と広報誌でお知らせしたことが記憶に新しいです。
がん診療の検査受診は回復基調にあり、早期がんで治療を開始する患者さんが増えています。また救急医療においても、昨年度の救急搬送受け入れ件数が、過去最高の年間5千件を大幅に上回りました。
当院は県指定がん診療連携拠点病院として、放射線専門医による国内最先端の放射線治療、がん薬物療法専門医による抗がん剤治療、消化器内科の専門医による各種がん治療、外科系の各専門医による低侵襲鏡視下手術に加え、緩和ケア専門医による診療に至るまで、総合的ながん診療を行っています。
がん診療以外にも、消化器内視鏡センターでは24時間体制で急な腹痛や消化管出血などに対応していることや、脳神経外科では専門医が脳血管の病変に対して迅速に対応していることも当院の特徴です。また、救急医療センター、人工関節センターなど、疾患ごとにセンターを運用し、それぞれチーム医療を実施しています。患者サポートセンターによる「地域の医療機関からの紹介や症状安定後の逆紹介」「入退院の支援」「医療福祉」「患者総合相談」を含め、総合的に医療の質を高めています。
このように医療機器やシステムの更新、センター化など充実した体制の確保をしているものの、建物は築40年を経過しており、老朽化が進んでいます。令和6年3月に策定した「市立病院経営強化プラン」の中で新病院の整備を行うこととしています。現在の建物について必要最低限の維持工事を行いながら、新病院の開設に向けてプロジェクトを本格始動していきます。プロジェクトの進捗は、今後も広報誌やホームページでお知らせします。
医療の質向上と健全経営に向け、職員一丸となり地域医療の推進に努力します。今後ともご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願いします。