臨床研究推進室

臨床研究推進室CLINICAL RESEARCH

治験審査委員会標準業務手順書

第1章 総則

第1条(目的と適用範囲)

1. 本手順書は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和 35 年 8 月 10 日 法律 145 号)」(以下、「医薬品医療機器等法」という)、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 9 年3 月 27 日 厚生省令第 28 号) 」(以下、「医薬品 GCP」という。)、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 17 年 3 月 27 日 厚生労働省令第 36 号)(以下、「医療機器GCP」という。)及び再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成 26 年 7 月 30 日 厚生労働省令第 89 号)(以下、「再生医療等製品GCP」という。)並びにGCPに関連する通知に基づいて、宝塚市立病院 病院長(以下、「病院長」という。)が、宝塚市立病院(以下、「当院」という。)に設置した治験審査委員会の委員及び関係者が遵守すべき事項を定めるものである。

2. 医療機器の治験、再生医療等製品の治験を行う場合には、本手順書において、「治験薬」を「治験機器」「治験製品」、「被験薬」を「被験機器」「被験製品」、「治験使用薬」を「治験使用機器」「治験使用製品」「有害事象」を「有害事象および不具合」と読替え等を行い適用する。

3. 医薬品、医療機器又は再生医療等製品の製造販売後臨床試験の実施にあたっては、本手順書を医薬品GCP 第56 条、医療機器GCP 第76 条又は再生医療等製品 GCP 第76 条の規定に基づき読替え等を行い適用する。

4. 本手順書は、医薬品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験、及び医薬品、医療機器及び再生医療等製品の再審査申請、再評価申請(医療機器の場合は使用成績評価申請)の際に提出すべき資料の収集のために行う製造販売後臨床試験に対して適用する。

第2条(秘密の保全)

治験審査委員会の委員は、被験者の個人情報、治験依頼者から提供された資料、情報及び治験結果を保全する。

第3条(直接閲覧)

治験審査委員会は、実施医療機関が行う監査、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに国内外の規制当局による調査を受け入れる。また、モニター、監査担当者又は規制当局の求めに応じ、すべての治験関連記録を直接閲覧に供する。

第4条(記録の書式)

「新たな「治験の依頼等に係る統一書式」について」(平成 24 年 3 月 7 日医政健発 0307 第 1 号、薬食審査発 0307 第 2 号及びその後の改正を含む)で定められた統一書式の他、必要に応じて別途定めた参考書式又は治験依頼者書式を治験依頼者と協議の上、使用する。

第5条(押印省略)

1. 委員長は、前条の通知に従い、治験関連手続き書類への押印を省略することができる。

2. 押印省略の条件として、治験依頼者及び病院長との合意を前提とする。

3. 省略可能な押印は、治験審査結果通知書(統一書式 5 )の「治験審査委員会委員長」の印章とする。

4. 治験審査委員会委員長、実施医療機関の長並びに治験責任医師は、各々の責務で作成すべき書類の作成責任を負う。なお、「治験の実施に係る標準業務手順書」又は「治験分担医師・治験協力者リスト」にて、書類の作成及び授受等の事務的作業の支援を規定している場合は、規定の範囲において当該担当者に業務を代行させることができるが、最終責任は各書類の作成責任者が負うこととする。

5. 文書の授受については、書面又は電磁媒体のいずれの方法で行ってもよいものとする。

第6条(本手順書の作成及び改訂)

本手順書は、治験審査委員会と協議の上、治験審査委員会事務局が作成し病院長の承認を得る。また、必要に応じて改訂し、病院長の承認を得る。なお、改訂にあたっては、改定日及び版番号を記す。

第2章 治験審査委員会

第7条(治験審査員会の責務)

1. 治験審査委員会は、医薬品GCP第 1 条で掲げる「治験に関する原則的事項」を尊重し、全ての被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図らなければならない。社会的に弱い立場にある者を被験者にする可能性のある治験の場合には特に注意を払わなければならない。

2. 治験審査委員会は、病院長より治験実施の適否について意見を求められた場合には、審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるか否か、その他当該治験が当院において実施することが適当であるか否かを審査し、文書により病院長に通知する。

3. 治験審査委員会は、病院長より治験の継続の適否について意見を聴かれた場合には、当該治験の実施状況について必要に応じて調査した上、治験の継続について事態の緊急性に応じて速やかに審査を行い、文書により病院長に通知する。

第8条(治験審査委員会の設置及び構成等)

1. 病院長は、治験に係る調査審議を行わせるため、院内に治験審査委員会を設置する。

2. 治験審査委員会は、本条第3項の要件を満たす、病院長から選任・委嘱された当院内外の者をもって構成する。

3. 治験審査委員会は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。

  • 1)治験について倫理的および科学的観点から十分に審議を行うことができること。
  • 2)5 名以上の委員からなること。
  • 3)委員のうち、医学、歯学、薬学その他医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者
  • 4)3)以外の者(次号及び第5号の規定により委員に加えられている者を除く。)が加えられていること。(医薬品GCP第 28 条第 1 項第 3 号委員、以下、非専門委員という)
  • 5)委員のうち、当院と利害関係を有しない者が加えられていること。(医薬品GCP第 28 条第 1 項第 4 号委員、以下、4 号委員という)
  • 6)委員のうち、治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者が加えられていること。(医薬品GCP第 28 条第 1 項第 5 号委員、以下、5 号委員という)
  • 7)男女両性で構成されること。

4. 4 号委員及び 5 号委員は、同一人物であることもあり得るが、別人であるか複数人であることが望ましい。

5. 委員の数が5名より多い場合には、非専門員、 4 号委員又は 5 号委員の数を増やす等により、委員構成を適正な割合に保つことを考慮する。

6. 委員の任期は、原則として 2 年とするが、再任は妨げない。

7. 委員は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、医薬品 GCP、医療機器 GCP 及び再生医療等製品 GCP、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、その他治験に係る法令及び行政通知等の内容を理解していなければならない。

8. 委員長及び副委員長は、委員の中から選出され病院長が指名した者とする。

9. 委員長が欠席あるいは当該治験の関係者である場合は、副委員長がこれを代行する。

第9条(治験審査委員会の業務)

1. 治験審査委員会は、治験実施の適否について病院長から意見を聴かれたときは、審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるかどうかその他当院における治験の実施が適当であるかどうかを以下に掲げる資料に基づき審査し、意見を述べる。

  • 1)治験を依頼する者による治験においては、以下の文書
     ① 治験実施計画書(多施設共同治験において、各実施医療機関特有の情報を治験実施計画書の分冊としている場合は、当該分冊のうち当院に係るもののみ。)
     ② 治験薬概要書(製造販売後臨床試験の場合には、添付文書)及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書
     ③ 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は除く。)
     ④ 説明文書・同意文書
     ⑤ 治験責任医師の履歴書
     ⑥ 治験分担医師の氏名を記載した文書(治験審査委員会が認める場合には治験分担医師の履歴書)
     ⑦ 被験者の安全等に係る報告
     ⑧ 治験の費用の負担について説明した文書
     ⑨ 被験者の健康被害の補償について説明した文書
     ⑩ 被験者の募集手順(広告等)に関する資料
  • 2)自ら治験を実施する者による治験においては、以下の文書
     ① 治験実施計画書(多施設共同治験において、各実施医療機関特有の情報を治験実施計画書の分冊としている場合は、当該分冊のうち当院に係るもののみ。)
     ② 治験薬概要書(製造販売後臨床試験の場合には、添付文書)及び治験使用薬(被験薬を除く。)に係る科学的知見を記載した文書
     ③ 症例報告書の見本(治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は除く。)
     ④ 説明文書・同意文書
     ⑤ モニタリングに関する手順書
     ⑥ 監査に関する計画書及び業務に関する手順書
     ⑦ 治験分担医師の氏名を記載した文書
     ⑧ 治験薬の管理に関する事項を記載した文書
     ⑨ 医薬品GCP、医療機器GCP又は再生医療等製品GCPの規程により自ら治験を実施する者及び当院に従事する者が行う通知に関する事項を記載した文書
     ⑩ 治験の費用に関する事項を記載した文書
     ⑪ 被験者の健康被害の補償に関する事項を記載した文書
     ⑫ 当院が自ら治験を実施する者の求めに応じて、治験に係る記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨を記載した文書
     ⑬ 当院が医薬品GCP又は治験実施計画書に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(医薬品 GCP 第46 条、医療機器GCP 第66 条又は再生医療等製品 GCP 第66 条に規定する場合を除く。)には、自ら治験を実施する者は治験を中止することができる旨を記載した文書
     ⑭ 被験者の募集手順(広告等)に関する資料
     ⑮ 被験者の安全等に係る報告
     ⑯ 治験責任医師の履歴書
     ⑰ その他、治験審査委員会が求める資料(被験者への支払い(支払いがある場合)、予定される治験費用に関する資料及び健康被害に対する補償に関する資料等)

2. 治験審査委員会は、前項に掲げる審査の対象となる文書の最新のものを病院長から入手する。なお、文書は必ずしも個別の作成を求めるものではなく、記載すべき内容が確認できる場合にあっては、複数の文書を1つにまとめることが可能である。また、あらかじめ、治験依頼者、治験審査委員会及び病院長の合意が得られている場合においては、医薬品GCP第20条第2項及び第3項に関する通知に限り、治験依頼者から入手することができる。この場合においては、医薬品GCP第 40 条第 1 項の規定に基づき、病院長が治験審査委員会等に文書により通知したものとみなす。

3. 治験審査委員会は、治験を実施することの妥当性に関する事項として、次の事項について倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から適切な期間内に調査審議し、その意見を病院長に通知する。

  • 1) 治験を実施する医療機関に適格性
    治験審査委員会は、当院が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるなど、当該治験を適切に実施することができるか否かを検討する。
  • 2) 治験責任医師等の適格性
    治験責任医師等が当該治験を実施する上で適格であるか否かをその最新の履歴書等により検討する。
    なお、治験審査委員会が必要と認める場合には。治験分担医師が当該治験を実施する上で適格であるか否かをその最新の履歴書等により検討する。
  • 3) 治験実施計画書の倫理的及び科学的妥当性
    治験の目的、計画及び実施が妥当なものであること
  • 4) 説明文書及び同意文書の適切性
    被験者の同意を得るに際して説明文書及び同意文書の内容が適切であること
  • 5) 被験者の同意を得る方法が適切であること
  • 6) 被験者に対する支払いがある場合には、その内容、方法が適切であること
  • 7) 被験者の健康被害に対する補償の内容が適切であること
  • 8) 被験者の募集手順(広告等)に関する資料がある場合は、募集方法等が適切であること

4. 治験審査委員会は、以下に関する文書を病院長から入手した場合には、倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から、治験の継続について事態の緊急性に応じて速やかに調査審議し、その意見を病院長に通知する。

  • 1) 本条第 1 項各号の資料追加、更新又は改訂された場合。ただし、治験実施計画書改訂にあっては、多施設共同治験において、各実施医療機関特融の情報を治験実施計画書の分冊としている場合は、当該分冊のうち当院にかかるもののみで良い。また、症例報告書の見本の改訂にあっては、レイアウト(電子情報処理組織の利用によるものの場合、その仕様)の変更のみの場合は除く。
  • 2) 被験者に対する緊急回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱又は変更報告
  • 3) 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更に関する報告書
  • 4) すべての重篤で予測できない副作用等
  • 5) 被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報
  • 6) 治験実施医療機関で発生した重篤な有害事象
  • 7) 治験の期間が 1 年を越える場合には、少なくとも年 1 回提出される治験実施状況報告書
  • 8) 自ら治験を実施する者が実施する治験において、モニタリング報告書又は監査報告書
  • 9) その他、治験審査委員会が必要と認める資料

5. 治験審査委員会は、治験責任医師又は治験依頼者に対して以下の事項を求める。

  • 1) 治験審査委員会は、治験審査委員会が治験の実施を承認し、これにも基づく病院長の指示、決定が文書で通知され、治験契約が締結される前に被験者を治験に参加させないよう治験責任医師に求める。
  • 2) 治験審査委員会は、緊急の危険を回避するためなど医療上やむを得ない場合や事務的事項に関する変更の場合(例:治験依頼者の組織・体制の変更、実施医療機関の名称・診療科名の変更、実施医療機関及び治験依頼者の所在地又は電話番号の変更、モニターの変更)を除き、治験審査委員会から承認の文書を得る前に治験実施計画書からの逸脱又は変更を開始しないように治験責任医師に求める。
  • 3) 治験審査委員会は、本条第 3 項1)から6)の事項について、治験責任医師又は治験依頼者が病院長を経由して治験審査委員会に速やかに文書で通知するよう求める。

6. 被験者に対して直接の臨床的利益が期待できない非治療的な内容の治験であって、被験者の同意を得ることが困難な者を対象とすることが予測される治験について承認する場合には、かかる被験者の参加を承認する旨を承認文書に記載する。

7. 緊急状況下における救命的な内容の治験であって、被験者の事前の同意を得ることが不可能で、かつ、被験者の代諾者と同意を得ることができない場合にも治験が行われることが予測される治験について承認する場合には、本条第1項の文書が、関連する倫理的問題に適切に配慮しており、かつ次の各号のすべてに該当する場合に限り治験に参加させることができる。

  • 1) 当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定していること。
  • 2) 現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
  • 3) 被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。
  • 4) 効果安全性評価委員会が設置されていること。

8. 前項の治験を承認した場合には、治験責任医師等は速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して説明した経緯と結果を治験審査委員会に報告するよう承認文書に記載する。また、当該承認文書に被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図るための方法を明記する。

第10条(会議の運営に関する事項)

1. 治験審査委員会は、定期開催(原則として月1回)とする。ただし、病院長から緊急に意見を聴かれた場合には、随時委員会を開催することができる。

2. 治験審査委員会事務局は、各委員に開催日程等を文書等で通知し、審査資料を治験審査委員会開催7日前を目途に配布する。なお、審査資料の配布については、書面もしくは電子データにて配布する。

第11条(会議の成立要件)

治験審査委員会は、以下の要件を満たす会議においてのみ、その意思を決定できるものとする。

  • 1) 審議及び採決には構成委員の過半数かつ 5 名以上の委員が参加していること。
  • 2) 第 8 条第 3 項 3 号委員が1 名以上参加していること。
  • 3) 非専門委員が少なくとも1名出席していること
  • 4) 第 8 条第 3 項 4 号委員及び 5 号委員が1名以上参加していること。
第12条(審査結果)

1. 病院長及び当該治験に関係のある委員(治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者並びに治験依頼者と密接な関係を有する者等)は、その審議及び採決に参加してはならない。なお、これらの委員は当該治験について、治験審査委員会に出席し情報共有することはできる。

2. 審議に参加していない委員は、その採決に参加してはならない。

3. 採決は出席した委員全員の合意を原則とする。

4. 治験審査委員会が特に必要と認める場合には、委員以外の特別な分野の専門家を委員会に出席させて意見を聞くことができる。

5. 治験審査委員会は、審査を行った場合には、次の事項について病院長に速やかに 文書をもって通知する。

  • 1)審査対象の治験名
  • 2)審査した資料
  • 3)審査日
  • 4)参加委員
  • 5)当該治験に対する治験審査委員会の意見
  • 6)その他必要な事項

6. 前項の治験審査委員会の意見は、原則として、次のいずれかによる。なお、2)~5)の場合には、その理由を付記する。また、あらかじめ、治験依頼者、治験審査委員会及び病院長の合意が得られている場合には、医薬品GCP第 20 条第 2 項及び第 3 項に関する通知に限り、治験審査委員会は、病院長に加えて治験責任医師及び治験依頼者にも同時に文書により意見を述べることができる。この場合、医薬品GCP第 32 条第 6 項の規定に基づき、治験審査委員会の意見を病院長が治験依頼者及び治験責任医師に文書により通知したものとみなす。

  • 1)承認
  • 2)修正の上で承認
  • 3)却下(不承認とする)
  • 4)記承認事項の取り消し(治験の中止又は中断を含む。)
  • 5)保留

7. 前項 2)の場合において、治験審査委員会は、必要に応じて修正済みの事項を確認する。

8. 病院長または治験依頼者は、治験審査委員会の審査結果について異議ある場合には、理由を添えて治験審査委員会に再審査を要求することができる。治験審査委員会は、病院長または治験依頼者から文書で異議申立てがあった場合には、再審査を実施する等適切に対応する。再審査においては、第 9 条の規定を準用する。

第13条(緊急の治験審査委員会開催)

1. 委員長は病院長から緊急に意見を求められた場合又は委員長が必要と認めた場合には、事態の緊急性に応じ速やかに治験審査委員会を開催し、病院長に意見を述べる。

2. 治験審査委員会を緊急に開催する必要のある事項は、下記のうち治験責任医師、病院長あるいは委員長等が緊急に開催する必要があると判断した事項をいう。

  • 1)治験責任医師から報告された重篤な有害事象
  • 2)治験責任医師から報告された治験の実施に重大な影響又は被験者の危険を増大させるような変更
  • 3)治験依頼者から報告された重篤で予測できない副作用等
  • 4)治験依頼者から報告された重篤で予測できない不具合等
  • 5)その他、治験の継続に重大な影響を及ぼす事項
第14条(迅速審査)

1. 治験審査委員会は、既に承認された進行中の治験に関わる軽微な変更について、委員長 または委員長が職責を果たせない場合は副委員長の判断により迅速審査を行うことができる。ここでいう「治験に関わる軽微な変更」とは、治験等の実施に影響を与えない範囲で、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険を増大させない変更をいう。
例:治験分担医師の変更、実施医療機関に関連するプロトコール分冊の変更等

2. 迅速審査は、委員長及び副委員長及び委員長が指名した委員の 3 名で行う。なお、このうち一者若しくは両者が当該治験の関係者である場合は、委員長により指名された委員がこれを代行する。

3. 迅速審査の内容と結果は、次回の治験審査委員会で報告する。

第15条(会議の記録)

治験審査委員会は、全ての審査及び採決に対して、参加した委員名簿(各委員の職業、資格及び所属を含む)及び会議の記録及びその概要を作成し、委員長(副委員長が委員長を代行した場合にあっては、副委員長)の確認を得る。

第3章 治験審査委員会事務局

第16条(治験審査委員会事務局)

1. 病院長は、治験審査委員会事務局を設置する。なお、治験事務局が治験審査委員会事務局を兼務することができる。

2. 治験審査委員会事務局は、病院長の指示により以下の業務を行う。

  • 1)治験審査委員会の手順書の作成
  • 2)委員の指名に関する業務
  • 3)治験の調査審議に関する委受託契約手続き業務(他の医療機関から治験審査依頼される場合)
  • 4)総合機構への治験審査委員会の登録及び登録内容変更申請業務
  • 5)治験審査委員会手順書等の公表に関する業務

3. 治験審査委員会事務局は、委員長の指示により以下の業務を行う。

  • 1)治験審査委員会の開催日程の決定及び各委員への開催通知
  • 2)治験審査結果通知書及び治験審査委員会委員出欠リストの作成及び病院長への提出
  • 3)会議の記録とその概要の作成、公表
  • 4)治験審査委員会の運営に係る記録(本手順書、委員名簿、第 2 号の業務に係る記録・文書等)の保存
  • 5)その他治験審査委員会に係る業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援

4. 病院長は、当院治験審査委員会の治験審査委員会事務局業務を治験施設支援機関に委託することができる。この場合において、病院長は当該業務を受託する者と、委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、当院が手順書に基づき委託業務が適正かつ円滑におこなわれているかどうかを確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結する。

第4章 治験審査委員会の手順書等の公表

第17条(会議の記録の概要の作成)

1. 病院長は、以下の事項を踏まえて会議の記録の概要を作成する。なお、迅速審査については、その結果を次回の治験審査委員会へ報告することにより、会議の記録の概要の作成を必要としない。

  • 1)「会議の記録の概要」には、開催日時、開催場所、出席委員名、議題及び審議結果を含む主な議論の概要を含む。
  • 2) 1)の議題には、成分記号(一般名が付されている場合にはその名称を含む。)、治験依頼者名又は自ら治験を実施する者の氏名、開発の相及び対象疾患名(第Ⅲ相試験に限る。)を含む。
  • 3)1)の審議結果を含む主な議論の概要については、単に審議結果のみを記載するのではなく、質疑、応答などの主な内容を簡潔に記載する。ただし、特に議論がなかった場合には、審議結果のみ記載することで差し支えない。
第18条(治験審査委員会の手順書等の公表)

1. 病院長は、治験審査委員会の手順書、委員名簿及び会議の記録の概要を適切な方法で公表する。なお、委員が資格等を特に有していない場合には、その部分について記載の必要はない。

2. 会議の記録の概要は、治験審査委員会の開催後 2 か月以内を目途に当院のホームページ等で公表する。

3. 病院長は、治験依頼者等より会議の記録の概要に治験依頼者等の知的財産権を侵害する内容が含まれていないか事前に確認したい旨の求めがあった場合には、求めに応じるとともに、必要があればマスキングなどの措置を講じた上で公表する。

第5章 記録の保存

第19条(記録の保存)

以下の記録の保存責任者は臨床研究推進室室長とする。

  • 1) 本手順書
  • 2) 委員名簿(各委員の職業、資格及び所属を含む)
  • 3) 調査審議された資料等
  • 4) 治験審査委員会の審査等の記録(審査及び採決に参加した委員名簿、会議の記録及びその概要を含む)
  • 5) 調査審議に関する契約書(外部の医療機関から審査依頼を受けた場合)
  • 6) 書簡等の記録
  • 7) その他必要と認めたもの
第20条(記録の保存期間)

前項の記録保存責任者は、前条の記録を、次の 1) 又は 2) の日のうちいずれか遅い日までの期間保存する。ただし、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について、治験依頼者又は自ら治験を実施する者と協議するものとする。

  • 1)当該被験薬に係る製造販売承認日(治験依頼者又は自ら治験を実施する者から、開発を中止した又は臨床試験の試験成績に関する資料が申請書に添付されないことを決定した旨の通知を受けた場合にはその通知を受けた日)
  • 2)治験の中止又は終了後 3 年が経過した日

附則

本手順書は、2019 年 5月 7日から施行する。

本手順書は、2020 年 7 月 7日から施行する。

本手順書は、2022年 4月 1日から施行する。

本手順書は、2023年 7月 6日から施行する。