当院整形外科の診療内容と特徴を紹介します
広報たからづか12月号に当院整形外科 森山主任部長の記事が掲載されました。
ここでは記事のノーカット版を掲載いたします。
副院長 兼 整形外科主任部長 森山 徳秀
兵庫医科大学卒業後、同大学病院で整形外科の診療に従事。
1997年に同大学医学博士取得し、米国留学。翌年から約16年間同大学整形外科学の助手・講師を務めた。2014年、当院に整形外科部長として赴任。その後2018年から診療部長、2019年から現職。日本整形外科学会整形外科専門医・脊椎脊髄病医。
当院の整形外科では脊椎疾患、関節疾患、外反母趾など足の疾患に加え、骨折などの外傷を中心に診療を行っています。2015年に関節と手術器具の位置を検出するナビゲーションシステムを導入し、正確で安全な人工関節手術を積み重ねています。医師7人が在籍し、そのうち6人が日本整形外科学会の専門医です。ここからは、疾患別の治療方法をご紹介します。
●腰や首の骨などの変形
腰の骨や靱帯が加齢変性するなどして神経を圧迫する「腰部脊柱管狭窄症」や、腰の骨と骨の間にある椎間板が飛び出し神経を圧迫する「腰椎椎間板ヘルニア」に対しては体に負担をかけないよう手術用の顕微鏡を用いて、小さな皮膚切開で狭くなった脊柱管を広げ神経の圧迫を取り除く手術を行っています。
また、腰の骨が前にずれて神経を圧迫する腰椎すべり症のうち、すべりを起こしている部分が不安定な場合は、神経の圧迫を取り除いた後、一部の椎間板を切除して人工骨を挿入し、スクリューと呼ばれるねじで腰の骨を固定する経椎間孔的椎体間固定術(TLIF)を行います。
さらに、首の骨が変形して神経を圧迫する「頚髄症」や首にある後縦靭帯が骨になり神経を圧迫する「頚椎後縦靭帯骨化症」には、神経の通り道を広げる頸部脊柱管拡大術を行います。なお、頚髄症のうち、本来前に向かって曲がっている首の骨が後ろに向かって曲がっている場合には、金属固定(頚椎インスツルメンテーション)を併用します。
特発性側弯症の診療や装具療法を中心とした側弯症の進行を抑える治療も行っています。
●関節の痛み
関節の軟骨がすり減る「変形性関節症」や関節で炎症が起きる「関節リウマチ」のうち膝関節や股関節については人工関節手術などを行っています。手術の際に用いるナビゲーションシステムの利点は、正確な位置に人工関節を設置できることで、そのことによって歩きやすくなったり、脱臼しにくくなります。当院では、皮膚や筋肉の切開を最小限にしたり、術後の痛みを可能な限り抑える術後疼痛管理などをさらに強化した人工関節センター4月に立ち上げました。
その特徴は、①2~3週間の短期間の入院②手術翌日からのリハビリ開始(車椅子移乗~歩行練習)③ナビゲーションシステムを用いた安全で正確な手術です。センター長は、人工関節手術の実績が年間100例以上ある藤原整形外科部長です。両脚のうち、痛みの強い脚を手術した患者さんからは、術後が楽なのか、反対側の脚も早く手術してほしいとの希望も増えています。
リハビリの様子
●骨折などの外傷
高齢者の脚の付け根の骨折には、金属などの器具で骨を固定して折れた部分をくっつける「骨接合術」や大腿骨の骨頭を人工のものに置き換える「人工骨頭置換術」を行い、小児の転倒や転落による肘周囲の骨折や前腕・橈骨遠位骨折には、麻酔科協力のもと早期に骨接合術を行っています。急性期治療を当院で行い、退院や社会復帰に向けての仕上げのリハビリは、回復期リハビリテーション病院と連携しながら治療しています。
●最後に一言
人工関節の治療困難例や上肢の難治性疾患の治療の際には、兵庫医科大学病院の治療スタッフが当院の手術を手助けしてくれます。お困りの症状がございましたら、かかりつけ医からの紹介状を持って当院を受診してください。
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